Last I love you (1) (ビリグラSS)
とてつもなく特殊設定なので大丈夫な方のみどうぞ……。
色々無茶を詰め込んでおります。KYでごめんなさい。
全4回の予定です。(長くなりました)
*十数年後妄想です。(40代後半…くらい?)
*老後とは完全に別次元のお話です。
(今回のみ、別次元の二人です)(いつも書いてるのは老後への道です)
*いわゆる死にネタです。
*グラハムに娘がいます。
*でもビリグラです。ビリグラなのです。
色々ごめんなさい、苦手な方は無理をせずスルーして下さい。
(Slow Luv は無理をしない、が合言葉にございます)
諸々不親切設計で申し訳ありません、無茶設定ばかりですがパラレルですので…。
大丈夫な方のみ、つづきからどうぞです。
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Last I love you (1)
パパはどのくらいこの人のことが好きだったんだろうか。
そしてこの人も、どのくらいパパのことが好きだったんだろうか。
そしてこの人も、どのくらいパパのことが好きだったんだろうか。
あたしはそれなりのポストにまで上り詰め、あとはユニオンの大統領になるだけというのに、
昔からのやんちゃ癖が治らず、MSに勝手に乗って勝手に死んだ男の一人娘だ。
昔からのやんちゃ癖が治らず、MSに勝手に乗って勝手に死んだ男の一人娘だ。
パパの名前はグラハム・エーカーと言って、おじさんになった今もハリウッドスターになんか負けないくらいにカッコ良くて、でも若い頃はその百倍カッコ良くて綺麗な人だった。
そうよ、あたしの自慢のパパだったんだから。
ママはごく若い頃、そう今のあたしと変わらないたった十六の頃にパパと出会って恋に落ちた。それも映画みたいな話よ、MS乗りでしょっちゅうドンパチやってるパパが、年に一度あるか無いかのバカンスで地中海にいた時に偶然ホテルのエレベーターで出会ったって言うんだから。
ほんの子供のママが見とれてぼぅっとしてたら、パパがにっこり笑って王子様みたいにエスコートして、エレベーターから一緒に降りてくれたんだそうな。その大人の気まぐれをママは勝手に運命と勘違いして猛アタックしたらしい。そしてデキたのがあたしなんだって。
結婚の約束を取り付けてから妊娠したのが解ったんだからね、とママは念を押したけど、実際はどうだか解りゃしないわ。パパは同僚達の中でも一人独身を貫くと噂されていたのに、降って沸いたような結婚話にユニオン中が大騒ぎになったらしい。それほどパパは注目の的だったわけだ。
交際期間なんてあるのか無いのか解らない、でも大恋愛の末にパパとママはゴールインした。(だってママが大恋愛だって言い張るんだもの!)
でもあたしが十歳になった頃にパパとママは別れて、経済的には豊か過ぎるパパがあたしを引き取ることになった。
ママが戦争でMSに乗ったまま、帰ってきやしないパパを嫌いになっていて、その内パパによく似ているあたしを見るのも辛そうにしていたから結果的にはママと離れて良かったんだと思う。そして離婚がやっと成立してから、パパはあたしを一人にさせまいと、今までの分を取り返すみたいになるべく家にいるようにしてくれた。
もうとっくにママは傍にいないのにね、今更だわ。
そうよ、あたしの自慢のパパだったんだから。
ママはごく若い頃、そう今のあたしと変わらないたった十六の頃にパパと出会って恋に落ちた。それも映画みたいな話よ、MS乗りでしょっちゅうドンパチやってるパパが、年に一度あるか無いかのバカンスで地中海にいた時に偶然ホテルのエレベーターで出会ったって言うんだから。
ほんの子供のママが見とれてぼぅっとしてたら、パパがにっこり笑って王子様みたいにエスコートして、エレベーターから一緒に降りてくれたんだそうな。その大人の気まぐれをママは勝手に運命と勘違いして猛アタックしたらしい。そしてデキたのがあたしなんだって。
結婚の約束を取り付けてから妊娠したのが解ったんだからね、とママは念を押したけど、実際はどうだか解りゃしないわ。パパは同僚達の中でも一人独身を貫くと噂されていたのに、降って沸いたような結婚話にユニオン中が大騒ぎになったらしい。それほどパパは注目の的だったわけだ。
交際期間なんてあるのか無いのか解らない、でも大恋愛の末にパパとママはゴールインした。(だってママが大恋愛だって言い張るんだもの!)
でもあたしが十歳になった頃にパパとママは別れて、経済的には豊か過ぎるパパがあたしを引き取ることになった。
ママが戦争でMSに乗ったまま、帰ってきやしないパパを嫌いになっていて、その内パパによく似ているあたしを見るのも辛そうにしていたから結果的にはママと離れて良かったんだと思う。そして離婚がやっと成立してから、パパはあたしを一人にさせまいと、今までの分を取り返すみたいになるべく家にいるようにしてくれた。
もうとっくにママは傍にいないのにね、今更だわ。
実際に面倒をみてくれたのは、おばあちゃまとハウスキーパーだったけど、ろくに顔も見れなかった今までのことを考えればパパがあたしの誕生日には必ず帰って来てくれて、その上スクールのイベントごとに仕事を抜け出して顔を出してくれるだけでも及第点だった。
だって片時も離れなかった、大好きなMSから降りて幹部へ出世することを選んだんだもの。
MSWADのエースパイロットのパパがよ?
これで私の生死だけでも心配する必要は無くなったからね、と笑って抱き締めてくれた。
あんな風に笑われちゃ、もっと傍にいてなんて言えなかった。
ママが一瞬で恋に落ちたのも解る、あたしの男の趣味はママに似て、いつもパパに似た綺麗な人を選んだ。
顔がどうこうというよりも、綺麗で太陽みたいにキラキラしていて真っ直ぐで、でも凄く不器用な人を。
パパはあたしに初めて恋人ができた頃は流石に心配してたけど、沢山恋をして沢山傷ついて、一番大事な人を選びなさい、といつも言っていた。
沢山恋をしないと、自分に合う人が解らないし、運命の相手に出会っても通り過ぎてしまったら、次はいつ会えるか解らないからね、と。
パパとママみたいに?
と訊いてみたかったけど、二人の出会いが運命でも何でもなく、大いなる勘違いなのは実証済だ。
あたしはパパも、今は若い恋人と遠い外国で暮らしているけどママも大好きで、一時は二人が大嫌いだったけど、でもパパが何度も何度も謝ってくれて、ママのことも許して欲しいと馬鹿みたいにぎゅうぎゅうあたしを抱き締めたから、許してあげることにした。
本当に、二人とも不器用だったんだ。
愛が無かったわけじゃないし、気まぐれでもあたしが生まれたのに、それでも運命の相手を取り違えたことを割り切ることもできずに逃げていたんだ。
幸いあたしは寂しい思いなんかしなかった。全然、て言ったらそれは嘘だけど、あたしが泣いて過ごした十歳までの間を半分の時間でパパが倍に返して愛してくれたから。それに大好きなおばあちゃまもいる。
全く、それなのに親より先に死ぬなんてパパは親不孝なんだから。
だって片時も離れなかった、大好きなMSから降りて幹部へ出世することを選んだんだもの。
MSWADのエースパイロットのパパがよ?
これで私の生死だけでも心配する必要は無くなったからね、と笑って抱き締めてくれた。
あんな風に笑われちゃ、もっと傍にいてなんて言えなかった。
ママが一瞬で恋に落ちたのも解る、あたしの男の趣味はママに似て、いつもパパに似た綺麗な人を選んだ。
顔がどうこうというよりも、綺麗で太陽みたいにキラキラしていて真っ直ぐで、でも凄く不器用な人を。
パパはあたしに初めて恋人ができた頃は流石に心配してたけど、沢山恋をして沢山傷ついて、一番大事な人を選びなさい、といつも言っていた。
沢山恋をしないと、自分に合う人が解らないし、運命の相手に出会っても通り過ぎてしまったら、次はいつ会えるか解らないからね、と。
パパとママみたいに?
と訊いてみたかったけど、二人の出会いが運命でも何でもなく、大いなる勘違いなのは実証済だ。
あたしはパパも、今は若い恋人と遠い外国で暮らしているけどママも大好きで、一時は二人が大嫌いだったけど、でもパパが何度も何度も謝ってくれて、ママのことも許して欲しいと馬鹿みたいにぎゅうぎゅうあたしを抱き締めたから、許してあげることにした。
本当に、二人とも不器用だったんだ。
愛が無かったわけじゃないし、気まぐれでもあたしが生まれたのに、それでも運命の相手を取り違えたことを割り切ることもできずに逃げていたんだ。
幸いあたしは寂しい思いなんかしなかった。全然、て言ったらそれは嘘だけど、あたしが泣いて過ごした十歳までの間を半分の時間でパパが倍に返して愛してくれたから。それに大好きなおばあちゃまもいる。
全く、それなのに親より先に死ぬなんてパパは親不孝なんだから。
もし私に何かあったら、友人にお前のことを頼んであるから頼りなさい、とパパは言っていた。
友人て誰かしら、ダリルおじさんかしら、それともハワードさんだろうか。
ハワードさんは口うるさくて、私にもっとレディらしくしなさい、と小言ばかりだからちょっぴり苦手だ。(しかも、おじさんと呼ばれるのが嫌で、未だにあたしはさん付けで呼ばされていた)
パパが笑いながらそうじゃない、旧い友人だよと書斎のデスクの引き出しの奥から小さな箱を開けて見せてくれたのは、今はすっかり珍しくなった何枚かの古く色褪せた写真だった。
凄いわね、データじゃなくて写真なのねと訊いたら、元データを無くしてしまったんですって。
パパが笑いながらそうじゃない、旧い友人だよと書斎のデスクの引き出しの奥から小さな箱を開けて見せてくれたのは、今はすっかり珍しくなった何枚かの古く色褪せた写真だった。
凄いわね、データじゃなくて写真なのねと訊いたら、元データを無くしてしまったんですって。
画像データではない物珍しさも手伝ってあたしは写真を一枚ずつ丁寧に見ていった。そこには若い頃のパパ(何度見てもとてつもなく美形だわ)やダリルおじさんやハワードさんがいて、楽しそうに小さな四角形の中で笑っていた。三人で一緒に撮った物や、もっと大勢で撮った物もある。
このお爺さんはエイフマン教授だろうか。よくパパの話に出てきた。
このお爺さんはエイフマン教授だろうか。よくパパの話に出てきた。
パパは全然軍服が似合ってなくて、何だか妙にダブついている。訊けば間違えて1サイズ上を申請したけど申請し直すのも面倒で、そのまま着ていたらしい。
もう本当に手のかかる人なんだから!
苦笑しながら最後の写真を見ると、そこにはソファに座った白衣を着た男の人がいた。
眼鏡をかけた優しそうな人で、ブラウンのとても長い髪を結ってポニーテールにしている。
奇抜なヘアスタイルはともかく、長い脚をゆったりと組んで、こちらへ甘く微笑む姿はパパ程じゃないけどなかなかに綺麗で、ちょっと王子様みたいだった。
苦笑しながら最後の写真を見ると、そこにはソファに座った白衣を着た男の人がいた。
眼鏡をかけた優しそうな人で、ブラウンのとても長い髪を結ってポニーテールにしている。
奇抜なヘアスタイルはともかく、長い脚をゆったりと組んで、こちらへ甘く微笑む姿はパパ程じゃないけどなかなかに綺麗で、ちょっと王子様みたいだった。
白衣を着ているから研究員の人か何かと思ったら、パパがMSWADにいた頃に技術顧問をしていた人らしい。そう、この人がフラッグを…。
……ねぇパパ、この人は?と訊くと、
……ねぇパパ、この人は?と訊くと、
「……カタギリだよ」
とパパはひっそりと答えた。
写真の裏側を見れば、
Katagiri
とアルファベットが並んでいる。そして小さく隅に書かれた日付はあたしが生まれるうんと前のものだった。
眼鏡の奥の瞳は優しく、柔らかく引き結ばれた口元は笑みを浮かべていて写真でもそれが伝わるくらいに温かい。でも残念なことにフレームが少し歪んでいて、斜めにカメラを傾けて撮ったみたいだ。
それは私が撮ったんだよ、とパパが言った。どうりでね、下手くそな写真だもの。
でも素敵な良い写真だと思った。
パパは静かに笑って、
もし私がいなくなったら彼を頼りなさい。
きっとカタギリはお前を見守ってくれるから。
と繰り返し言った。
パパの友人だというのに、このカタギリさんをあたしは見たことが無かった。
パパの周りにはいつも色んな人がいた。それはユニオンの幹部になったパパに取り入ろうという人もいた
けれど、ダリルおじさんや、ハワードさんや、他にも沢山周りを囲むのは、不器用で真っ直ぐなパパを愛する人
ばかりだった。でもその輪の中に、この人はいつもいなかった。
最近はカタギリさんに会ってるの?
と訊けばパパは、何年も会っていないよ、と少し強い口調で答えた。
ちょっと待ってよパパ、そんなにずっと会ってない人にあたしを頼むの?
と言うあたしにパパは少し寂しそうに微笑んで、
私はもう彼とは会えないのだよ、と続けた。
でも、しっかり頼んであるから大丈夫、
と本当に大丈夫なのか良く解らないことを言った。
NEXT
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