Give me sweets (2) (ビリグラ R18)
(1)のつづきです。致してます。すいません(としか言えない)。
つづきから、どうぞです。
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Give me sweets (2)
僕は殊更ゆっくりと事を進める。
彼の内に傷をつけるなぞ、あってはならないことだ。
繊細な内が綻んでやわやわと蠢くようになってから、漸くもう一本増やしてやる。添えた薬指を少し曲げて更に広げ、中指は回すようにして奥の方、ほんの少し固い箇所を探した。
屹立した彼の中心が更に腹に付くようになり、透明な涙がとろりと幹を伝う様を見て、感じているのだと知っては笑みが零れた。
「――気持ち良いかい?」
素朴な風を装って問えば、
「……ッ」
こくり、と首が縦に振られ、また脚が跳ねた。
僕の腰に絡められた脚が更に締まり、シーツの上で時折踊る背と肩が、絶頂が近いことを知らせる。
息づくそれを口に含もうかと身を屈めた途端、悲痛な声が耳に届いた。
「……っタ、ギリ…ッ、カタギリッ……」
呼ばれて顔を上げれば困り果てた視線を寄越される。
「………、も……ぅ…」
いれてくれ、と唇の動きだけで彼は命じた。
だが僕は優しく笑ってやるだけで、指を引き抜こうなどとはしない。
まだ早いからだ。
なんで、いやだ、はやく、と脚を滅茶苦茶に腰に擦り付けられ、若干鳩尾を蹴られたが構いやしない。
癇癪を起こした子供のように脚をバタつかせたがその拍子に好い所に僕の指がヒットしたのだろう、グラハムはうぅ、と呻いて少し大人しくなった。言わんこっちゃない。
脚を捕らえて踝にキスを落せば、羞恥に白皙の美貌が歪む。自分の格好の淫らさに、快楽にキレた頭でようやく理解し始めたらしい。
「……まだ駄目だよ」
「ッ……」
泣きそうな目で僕を睨む。それにすら興奮を覚えた。
「まだ中が狭いからね、これで挿入れたら君が怪我するよ」
熱く絡みつく内は指をぎゅうぎゅうと締め付けるけれども、僕の質量を納めるにはまだ充分な柔らかさではなかった。
「いいから、カタギリっ……」
焦れてグラハムが腰を揺らめかせた。グラハムが長過ぎる前戯に焦れるのはいつものことだったが、時間を掛け過ぎて我に返り始めるのも嫌なんだろう。確かにさっさと挿入すればあとは熱に浮かされるまま求め合い、射精を促せば良いだけだから、早く終わりたくて仕方がないのかも知れない。
そしてまだ、自分は勃起したまま放ったらかしにされて一方的に喘がされているだけだ。
自分からも仕掛けるのが好きな彼だから、早く初戦を終えて2ラウンド目に突入したいのか。
しかしだ、僕にだって欲はある。
彼の脚を抑えようと腿に膝頭を当てて押し開く。柔らかく薄い皮膚の、普段日の光を浴びない箇所の際立った白さが眩しく艶かしい。そして吐き出したくて堪らない欲望に震える、彼のそれ、艶かしく白い肌の中で色めいた、凶暴なほど立ち上がったそれを思わず凝視してしまった。
「……ッみるな!!」
「ごめん、」
しまった、余計なことを言った。でも見るな、とは今更だ本当に。
「…もう少し、我慢できるね?」
上手く微笑むことが出来ただろうか。
悪い大人のように宥めすかし、もう少し、もう少しと引き伸ばす。
繊細な内を無理な挿入で傷つけるのも嫌だったが、
「……、も、いいから、カタギリ……」
……たどたどしく、強請る様をもっと見ていたくなった。
「もう少し、……もう少しだから」
我慢してね、と囁き、コリ、と内の固い部分を押せば、白いからだが更に跳ね上がった。
過ぎた快楽に戸惑う子供めいた表情に嗜虐心を煽られる。
大事にしたいし大切にしたい、だがそれと同じだけの貪欲さで虐めてみたいし泣かせてみたいし困らせてもみたかった。
この、堪え性の無い、快楽に弱い彼を。
彼に我慢などできるはずも無い、そんなことは一緒に過ごした夜の数だけ知り尽くしていたけれども、それなのに強いている自分は本当に悪い大人だ。
だけど知っている、たっぷりと柔肉がとろとろに蕩けるまで慣らせ、ゆっくりと挿入してやれば、下の口も上の口も綻ぶようにゆっくりと開き、僕をしっとりと、されど強く締め付け離さないことを。
後から追いかけて来るぐずぐずとした快楽が、きっと彼を捕らえて離さないことも。
嗚呼、と切なく呼気が吐かれる。
中指と薬指を内でバラバラに曲げれば、彼はついに手の甲を翳して顔を覆ってしまい、やり過ごそうとする。
「……グラハム、」
呼びかければ荒い呼吸に上下する顔が見えた。
彼の中に指を埋めたまま彼に覆いかぶさるようにし、そっと頬にキスをしてやると、それにすら感じたのか、ぴくん、とまた跳ねる。
「…駄目だよ、見せて」
「あ……?」
嗚呼、本当に子供みたいだ。
「君の顔、もっと見せて」
ゆるゆると首を振り、とうとう腕で顔を隠してしまう。
嗚呼、駄目だよ。感じ過ぎて嫌がる顔が見えなくなる。
いやらしくて堪らなくて、ずっと眺めていたいのに。
「…だめ、だ……」
すっと腕が僅かにずらされ、赤く潤んだ左目がそっと覗いた。
「どうして?」
恥ずかしいなど今更で、それこそ数え切れない程の二人の夜を越えてきたというのに。
だが彼が寄越したのは処女めいた風を装った計算尽くしの有り触れた回答ではなく、
「……さっさと入れな……ッ、なら、見せてやら……ん…」
はぁ、と大きく彼が呼吸する。
じゅくじゅくと収縮する中は僕の指を咥え込んでしっとりと離さないまま―――、
この状態で、どういう理屈だ。挿入れないなら顔見せないって、ねぇ。思わず僕は吹き出した。
「!………ッぁ」
一気に指を引き抜かれた衝撃で彼が呻く。
ごめんね、でも君の所為でもあるんだよ、と言うより寧ろ君の所為にさせてくれ。
パッケージを歯で噛み切り、取り出したスキンを自身に被せる間ももどかしく、挿入れるよと宣言した。その拍子に肯いたのだろうグラハムの髪が視界の端で揺れたようだった。
腰を上げさせ胸に付くほど膝を抱える。
あられもない姿にほくそ笑む暇も無く、僕は自身を彼の入り口に押し当てゆっくりと侵入を果たした。
「………!」
彼が息を呑むのが、解る。
「……ぅ…ッ」
「………じっと、してて…っ」
少しずつ納めれば熱く潤う内に絡みつかれて僕も呻いた。
見下ろせば歓喜に震え、焦がれた目で僕を見る彼がいて一層欲しくなる。
ふいに伸ばされた手を取り指先をそっと食んでやれば、彼が笑った。
僅かに動く唇は何事かを囁いているようだったが、生憎僕の耳に届く前に掻き消えた。
どうしたんだい、と顔を寄せれば鼻先にキスをされ、全く可愛いことをしてくれると知らず笑みが零れる。
「………ッ」
え、何だい? と耳を寄せればまた催促された。
はやく、と。
はやくこい、と。
「……知らないよ、もぅ」
そっと溜息して腰を進めれば、あとは彼の術中だ。
「……ッ、ん………ッ」
忙しなく喘ぎ、くぐもった声を上げる彼の声音は低く艶めいていて、それにすら煽られ何度もねじ込む。
際限なく開かせた両脚、膝裏に手を掛け彼の体を折り畳めば一層結合が深くなる。
きゅうきゅうと僕を包む彼のそこはとても熱く、繋いだ箇所から溶けそうで、そして少し、痛かった。
「カタギリ待っ……、もっと、ゆっく……ッ」
「……早く、と言ったのは君だけど?」
「んぁ……ッ」
歪む顔に、だからまだ待てって言ったのに、と事も無げに吐く。
それでも律動を止めない。止められる訳がない。
早まる鼓動と同じ速さで軋むベッドのスプリング音を頭の隅でぼんやり感じながら、何度も腰をグラインドする。
彼の内は収縮しながら行かないでと懇願するように、僕を引き絞った。腹で擦られている彼自身が精を吐き出すのも時間の問題だろう。
嗚呼本当に、可愛くて堪らない、
可愛くて可愛くて、汚してやりたくて堪らなかった。
もっと、もっとと、
彼は甘いお菓子を強請る子供のように無邪気に僕を煽る。
煽られ求められるまま欲しがる分だけ与えてやるけれども、欲しくて堪らないのは僕も同じで。
「――カタギリ、」
呼ばれて乞われ、キスをしてやれば彼の内が一層締まって甘く痺れた。
もっと、もっと、
甘いお菓子をちょうだいと、強請る子供のように彼は僕の唇に舌を這わせる。
唇をくすぐるそれに焦れてこちらも噛みつくように求めた。嗚呼、嵌っている。
無邪気にされど貪欲に煽る彼に、僕も虜となるのだ。
END
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今更ですが「私は我慢弱く落ち着きの無い男なのだ」より無茶妄想。
すいません(としか言えない orz)。